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18 お兄ちゃん好みの彼女

ผู้เขียน: 栗栖蛍
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-05-30 08:33:19

 更衣室に入ると休み時間は残り5分を切っていて、クラスメイトはもう誰も残っていなかった。

 じんわりと暑い空気と制汗剤の匂いを窓の外へ逃がし、急いで制服に着替える。先生の目を盗みながら駆け足で教室へ戻ると、智が席で「お帰りなさい」と芙美を待ち構えた。平常心を装った「ただいま」に重ねて、二時間目の始業ベルが鳴る。

「ギリギリセーフだね」

「う、うん」

 何事もなかったように前を向く智の広い背中を見つめながら、芙美は落ち着かない心臓の鼓動をぎゅっと押さえつけた。斜め前方の席からこっそり手を振ってきた咲に振り返すのがやっとで、授業は半分も頭に入らない。

 その後、智とは何度か話をしたけれど、お互いに保健室での事には触れなかった。

   ☆

 放課後、昇降口を出たところで咲が突然ピタリと足を止めた。のんびり教室を出たせいで、周りに他の生徒の姿は殆どない。先に出た智や湊は、もう駅に着く頃だろう。

「芙美……」

 咲は肩に掛けた鞄を両手で握り締め、何故か深刻な表情で俯いている。

「どうしたの? 咲ちゃん」

 もしや保健室でのことがバレているんじゃないかと息を呑むが、彼女の悩みは全く別の事だった。

 この時を待っていたかのように改まった顔をして、咲は目を潤ませる。

「芙美は、芙美のお兄ちゃんの事が好きなのか?」

「えぇ? そっち?」

「そっちって何だよ。私に何か隠し事でもしてたのか?」

「ううん、そういうのじゃないけど」

 芙美は慌てて否定する。そういえば咲は朝も兄の蓮に嫉妬するような素振りを見せていた。彼女にとって蓮が何故地雷なのか、芙美にはさっぱり分からない。

「お兄ちゃんって、そりゃ兄妹だから嫌いじゃないよ。けど、咲ちゃんが考えてるのとは違うと思うの」

 それこそ湊たちの話を思い出して、妹にベタベタしていたというリーナの兄を重ねてしまう。

 リーナが兄をどう思っていたのかは分からないが、蓮が自分にベタベタしてきたら、やっぱり気持ち悪いなと芙美は思った。

「やっぱり、お兄ちゃんの事が好きなんだな?」

「だから、そうじゃないよ」

 オーバーな解釈をして、咲は「うおぉ」と咆哮する。そして悲劇のヒロインにでもなったように、側にあった二宮金次郎像の台座に片手をついた。

 絶望に打ちひしがれる彼女の背中に何と声を掛けていいのか分からない。

「咲ちゃん……」

「けど、芙美にお兄ちゃんが
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